墓守娘が抱える継承者不在の悩み、相談先を6つ紹介

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墓守娘として実家の墓の掃除や管理を担ってきた人の多くが、次の世代に継承者がいないという悩みを抱えています。この悩みに対する相談先は、菩提寺や市区町村役場、行政書士、石材店、弁護士、消費生活センターなど複数存在し、悩みの内容に応じて使い分けることができます。少子化によって墓を継ぐ子や孫の数そのものが減っているため、この悩みは一部の家庭だけの特殊な事情ではなく、同じ立場の人が数多くいる社会全体の課題になっています。実家の墓を長年守ってきた女性が、自分の子どもに同じ負担を背負わせたくないと考えるケースは珍しくなく、墓じまいという選択肢に注目が集まっているのも、こうした事情が背景にあるからでしょう。

目次

墓守娘は実家の墓参りや掃除を担う娘を指す通称

墓守娘とは、実家の墓の管理や維持を実質的に担っている娘を指す通称です。定期的に墓に足を運び、掃除や草むしり、供花や線香の交換といった作業をこなしている立場の人を指します。長男が家を継ぎ、墓も長男が守るという従来型の家族観は薄れつつありますが、実際には娘が実家の近くに住んでいる、あるいは親と関係が深いといった理由から、墓の世話を娘が担っているケースは少なくありません。

50歳代のある女性は、自身が墓守娘の立場にあることを明かしたうえで、「この先、自分がいなくなった後、自分の子どもにこの墓を継がせてよいのだろうか」という悩みを打ち明けています。遠方に住み、それぞれの生活基盤を築いていく子ども世代にとって、墓の維持管理は時間的にも経済的にも重い負担になりかねません。子どもには自由な人生を歩んでほしい、自分が抱えているような負担を同じように背負わせたくない。この思いは、墓守娘という立場にある人に共通する感情ではないでしょうか。

墓守娘が継承者不在に悩む背景に出生数75万人という少子化がある

墓守娘という立場や、墓の継承者がいないという悩みが目立つようになってきた背景には、少子化と家族形態の変化があります。日本の出生数は2023年に75万人にとどまり、2年連続で80万人を大きく割り込みました。一方で年間の死亡者数は約160万人と、出生数の2倍を超えています。単純に考えても、墓を継ぐことができる子や孫の数そのものが着実に減っていることになります。

子どもが女性一人だけという家庭の場合、その女性が結婚して姓が変わると、実家の墓を承継しづらいという事情も指摘の対象になりやすい点です。生涯を独身で過ごす人や、子どもを持たない選択をする夫婦が増えていることも、継承者不在の悩みを広げている要因の一つです。ある自治体の調査では、「子どもはいるが、墓を守ってくれるとは思わない」「子どもがいないため守っていくことは困難」と回答した人が合わせて4割近くに上りました。

こうした社会的背景のなかで、実家の墓を実質的に管理している墓守娘が、自分の代で区切りをつけ、子どもには負担を継がせないという選択、すなわち墓じまいを検討するようになるのは、ごく自然な流れといえます。継承者がいない、あるいはいなくなる見込みがあるという悩みは、特定の家庭だけの特殊な事情ではなく、少子高齢化が進む社会全体で共有されつつある課題です。

50歳代の貯蓄ゼロ世帯は18.2%、60歳代でも12.8%

墓や相続の問題を考えるうえで、まず押さえておきたいのが50歳代・60歳代の資産状況です。J-FLEC(金融経済教育推進機構)が実施した「家計の金融行動に関する世論調査 2025年」によると、二人以上世帯の金融資産保有額は次のような分布になっています。

50歳代二人以上世帯では、金融資産非保有の世帯が18.2パーセントを占め、平均額は1908万円、中央値は700万円です。平均と中央値に大きな差があることからわかるとおり、一部の高資産世帯が平均値を押し上げている一方で、およそ5世帯に1世帯は金融資産をまったく保有していません。教育費のピークや親の介護費用など、50歳代特有の支出が家計を圧迫していることも背景にあると考えられます。

60歳代二人以上世帯では、金融資産非保有の世帯が12.8パーセント、平均額は2683万円、中央値は1400万円でした。退職金の影響もあり50歳代より資産は増える傾向にありますが、3000万円以上の世帯が27.2パーセントに達する一方で、定年退職を迎える年代になっても1割強の世帯が貯蓄ゼロのままセカンドライフを迎えています。年齢を重ねれば自然に資産が増えるわけではないことが、このデータからも見えてきます。

相続トラブルの78%は遺産5000万円以下の家庭で起きている

「うちは財産がそれほど多くないから、相続でもめることはないだろう」と考える人は多いのですが、実際にはそうとは限りません。最高裁判所が公表した「令和6年 司法統計年報(家事編)」によると、家庭裁判所で成立した遺産分割事件のうち、遺産総額5000万円以下のケースが全体のおよそ78パーセントを占めています。相続トラブルは、多額の資産を持つ一部の富裕層だけの問題ではなく、実家と少しの預貯金といった、ごく一般的な財産構成の家庭でも十分に起こりうる身近なリスクなのです。

親の財産の内容を十分に把握しないまま相続を迎えると、遺産分割の話し合いが長引き、残された子ども自身が精神的にも経済的にも大きな負担を抱えることになりかねません。相続で困る原因は、財産の多寡だけでなく、預貯金や不動産、生命保険、重要書類の所在といった情報が家族間で共有されていないことにもあります。

親が元気なうちに、こうした情報を家族で共有し、将来介護が必要になった際のお金の管理方法や役割分担について話し合っておくことが、将来の負担軽減と円滑な相続手続きに直結します。厚生労働省の推計によれば、2025年時点で65歳以上のおよそ20パーセントが認知症になっているとされています。判断能力が低下すると本人名義の口座が凍結され、契約手続きも難しくなり、家族が介護費用の支払いに苦労する事態を招きかねません。一人の子どもが親の通帳を預かって介護費用を管理していた場合、他の家族にその経緯が共有されていないと、相続時に使い込みを疑われるトラブルに発展する恐れもあります。成年後見制度を利用する方法もありますが、最も重要なのは、親が元気なうちに財産の内容や管理方法について家族全員で話し合い、情報を共有しておくことでしょう。

墓じまいを検討した人は42.8%、60歳代では53.2%に達した

親の相続や実家の片付けを経験する世代だからこそ、自分の子どもには同じ苦労をさせたくないと考える人が増えています。その代表的な取り組みの一つが墓じまいです。

全国石製品協同組合が40歳代から70歳代以上を対象に行った「墓じまいに関するアンケート調査」によると、墓じまいについて「経験した」「検討している」「将来的に検討する可能性がある」と回答した人は全体の42.8パーセントに達しました。年代別に見ると50歳代が35.8パーセント、60歳代では53.2パーセントと半数を超えており、年齢が上がるほど関心が高まっていることがわかります。

検討のきっかけとしては「今ある墓の管理やお参りが大変」という回答が21.0パーセントで最も多く、具体的な相談タイミングとしても「自分が終活を始めた時」という回答が21.2パーセントで上位に入っています。家族に不幸があってから慌てて動くのではなく、自身のセカンドライフを見据えて主体的に検討する人が増えているようです。

墓じまいの手続きは改葬許可申請から始まる

継承者がいない、あるいは子どもに負担を残したくないという理由から墓じまいを決めた場合、実際にはどのような手続きが必要になるのでしょうか。

まず必須となるのが「改葬許可申請」という行政手続きです。墓を撤去し、遺骨を別の場所に移す「改葬」を行うには、現在墓がある市区町村役場に改葬許可申請書を提出し、改葬許可証を取得しなければなりません。申請には、現在の墓の管理者から発行してもらう埋蔵証明書などの書類が必要になります。この申請は原則として祭祀承継者本人か行政書士が行うものであり、石材店が代行することはできない点には注意が必要です。

具体的な流れとしては、まず親族と墓じまいそのものについて協議し同意を得たうえで、墓地の管理者である寺院や霊園に意思を伝え、埋葬(納骨)証明書を発行してもらいます。並行して遺骨の移転先を決め、受入証明書(永代供養許可証)を発行してもらったうえで、埋葬証明書とあわせて改葬許可申請書を役所に提出します。改葬許可証が交付されたら、僧侶に読経してもらい墓石に宿る故人の魂を抜く「閉眼供養」(お性根抜き)などの法要を行ったうえで遺骨を取り出し、その後に墓石の解体・撤去工事という順番で進むのが一般的な流れです。

墓じまいの費用相場は20万円から50万円

墓石の撤去にかかる費用は、一般的に1平方メートルあたり10万円から15万円程度とされ、墓じまい全体の費用相場は20万円から50万円程度が目安です。ただし、これは墓石の撤去費用のみであり、遺骨の移転先までを含めた総額で見ると、30万円から200万円程度かかるケースが多くなります。

なお、墓地の使用にあたって最初に支払った永代使用料は、原則として返還されません。永代使用料が土地そのものの代金ではなく、あくまで永代にわたって墓地を使用する権利に対する料金だからです。墓じまいをして墓地を返還しても、この使用料が戻ってくるわけではないことは、費用面での見込みを立てるうえで押さえておきたいポイントといえます。

遺骨の移転先は永代供養墓、樹木葬、海洋散骨など選択肢が複数ある

遺骨の移転先としては、主に次のような選択肢があります。継承者の有無や予算、家族の希望に応じて、これらを組み合わせて検討することになります。

移転先の形式費用の目安特徴
合葬墓・合祀墓形式の永代供養墓10万円〜30万円程度管理費が不要になり比較的安価
個別安置タイプの永代供養墓50万円〜120万円程度対面でお参りしやすい形式ほど費用が高くなる傾向
樹木葬20万円〜80万円程度自然に還る形式で個別区画を持てるタイプもある
海洋散骨5万円〜50万円程度遺骨を海にまく形式
納骨堂30万円〜150万円程度駅からのアクセスが良い立地も多い

離檀料は法的な義務ではなく寺院に支払い拒否の権利がある

墓じまいを進める過程で特にトラブルになりやすいのが、菩提寺との「離檀」に関する費用、いわゆる離檀料の問題です。菩提寺から高額な離檀料を請求されるケースが報告されていますが、離檀料は法律上の義務ではなく、あくまで慣習的な謝礼にすぎません。日本国憲法第20条では信教の自由が認められており、離檀料の支払いをしないことを理由に離檀そのものを止める権利は寺院側にはないのです。

とはいえ、長年お世話になってきた菩提寺との関係を考えると、一方的に交渉を打ち切るのは現実的ではありません。高額な請求を受けた場合は、まず冷静に話し合いを行い、それでも解決が難しい場合には弁護士など法律の専門家に相談することが勧められています。感情的なやり取りになる前に、早めに第三者を交えて話を整理することが、円満な解決につながりやすいでしょう。

祭祀承継者は民法897条に基づき指定・慣習・審判の順で決まる

そもそも墓は、法律上どのように扱われる財産なのでしょうか。墓や墓地の使用権、仏壇や位牌といったものは「祭祀財産」と呼ばれ、預貯金や不動産などの相続財産とは扱いが異なります。祭祀財産は遺産分割の対象にはならず、民法第897条に基づき「祭祀承継者」が単独で承継する仕組みになっています。

民法897条では、祭祀承継者の決め方について優先順位が定められています。第一に、被相続人(亡くなった人)が生前に指定していた場合は、その人が承継者となります。指定の方法に決まった形式はなく、遺言のほか口頭や黙示の意思表示でも認められるとされていますが、後々の争いを避けるためには遺言などの書面で明示しておくことが望ましいとされています。第二に、被相続人による指定がない場合は、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継者となります。そして第三に、指定も慣習による決定もできない場合は、家庭裁判所が審判によって承継者を定めます。

祭祀承継者に指定されると、墓地や納骨堂の使用権について名義変更の手続きが必要になります。必要書類や手続きの方法は寺院や霊園ごとに異なるため、実際に名義変更を行う際は、必ず管理者に直接確認してください。

ここで重要なのは、祭祀承継者になることは法律上の義務ではなく、承継を強制する規定は存在しないという点です。ただし、承継者が誰もいない状態が続くと、墓そのものの管理が立ち行かなくなり、次に述べる無縁墓化のリスクに直面することになります。

継承者不在のまま1年ほど放置すると無縁墓に認定される

いずれ墓じまいをしようと思いながら、忙しさにかまけて手をつけられていないという人も少なくないでしょう。しかし、継承者がいないまま墓の管理費の未納や連絡不通の状態が続くと、墓地の管理者は法的な手続きに沿って対応を進めていくことになります。

一般的な流れとしては、まず管理費の滞納が続くと、墓地の使用者に対して督促が行われます。それでも連絡が取れない、あるいは対応がない場合には、墓地に立て札が設置されるとともに、官報に墓地使用者の氏名や住所、本籍地などが掲載され、最終的な告知が行われます。この告知から一定期間、目安として1年程度が経過しても申し出がなければ、その墓は「無縁墓」として認定されます。

無縁墓と認定されると、墓地の管理者には墓石を撤去し、遺骨を合祀墓へ移す法的な権限が認められています。いったん合祀されてしまうと、後から特定の遺骨だけを個別に取り出すことはできなくなる点には注意が必要です。通告を無視し続けたこと自体に刑事罰が科されるわけではないとされていますが、状況によっては管理費用の請求や損害賠償といった民事上のリスクが残ることもあります。

継承者がいないからといって何もせずに放置してしまうと、最終的には墓が強制的に整理されることになります。自分の意思で供養の形を選べる墓じまいと、無縁墓として強制的に処理される場合とでは、遺族や関係者の心情にも大きな差が生まれます。継承者がいない、あるいはいなくなる見込みがあると感じた時点で、早めに次の一手を検討しておくことが重要になる理由はここにあります。

永代供養を選ぶときは合祀か個別安置かを契約前に確認する

墓じまいを決めた後、遺骨の新たな受け入れ先として永代供養墓や樹木葬を選ぶ場合には、いくつか事前に確認しておきたいポイントがあります。

まず、合祀(他の遺骨と一緒にまとめて供養する形式)か、個別安置(一定期間は個別の区画で管理される形式)かという点です。合祀は費用を抑えられる一方で、後から遺骨を個別に取り出すことができなくなります。将来的に分骨や改葬を考える可能性がある場合は、個別安置の期間や条件をあらかじめ確認しておくとよいでしょう。

次に、供養や管理の主体が将来的にも継続する見込みがあるかどうかも重要な確認事項です。寺院や霊園の運営母体が将来にわたって存続するか、万一運営主体が変わった場合の対応はどうなっているかを、契約前に確認しておきたいところです。

また、アクセスのしやすさも見落とされがちなポイントです。個別にお参りをしたい家族がいる場合、自宅からの距離や交通の便も選択の基準になります。費用だけでなく、実際にお参りに行く人の負担も踏まえて検討することが望ましいでしょう。

墓の継承者がいない悩みの相談先は寺院や役所など複数ある

ここまで見てきたように、墓の継承者がいない、あるいは将来継承者がいなくなる見込みがあるという悩みは、多くの家庭にとって現実的な課題になっています。では、実際にこうした悩みを抱えたとき、どこに相談すればよいのでしょうか。主な相談先を整理します。

まず親族への相談が大前提になります。墓じまいや改葬は、自分ひとりの判断で進めてしまうと、後になって親族間の大きな対立を招きかねません。他の相続人や墓に関わりのある親族には、早い段階で事情を説明し、必ず合意を得たうえで手続きを進めることが重要です。

次に相談先となるのが、現在墓を管理している寺院、いわゆる菩提寺です。墓じまいを行う際には、役所への改葬手続きのほか、新しい遺骨の受け入れ先の決定、石材店の手配、そして寺院による閉眼供養や離檀の相談など、確認すべき事柄が多くあります。まずは菩提寺に率直に事情を伝え、今後の進め方について相談するのが基本の流れです。

相談先得意分野費用の目安
菩提寺閉眼供養の実施、離檀に関する相談御布施などケースにより異なる
市区町村の役所改葬許可申請の受付、必要書類の確認手数料は自治体ごとに異なる
行政書士改葬許可申請の代行、書類作成のサポート依頼内容により金額は異なる
石材店墓石の撤去、見積もり、改葬先の紹介撤去費用は1平方メートルあたり10万円〜15万円
弁護士離檀料トラブル、親族間の対立の調整自治体や弁護士会の無料相談も利用できる
国民生活センター・消費生活センター高額請求など事業者との金銭トラブル電話・対面とも無料

行政手続きの窓口としては、墓がある市区町村の役所が挙げられます。改葬許可申請は役所への提出が必須であり、必要書類や手続きの流れについて窓口で直接確認できます。手続きに不安がある場合や、自分で申請を行う時間が取りにくい場合には、行政書士に代行を依頼するという方法もあります。行政書士は墓じまいや改葬に関する法的な手続きを専門的に扱っており、書類作成から役所とのやり取りまでサポートしてくれます。

石材店も重要な相談先の一つです。墓石の撤去作業を実際に担うのは石材店であり、費用の見積もりや作業スケジュールの相談ができるほか、改葬先となる永代供養墓や樹木葬の紹介を行っている石材店も多くあります。複数の石材店から見積もりを取り、費用やサービス内容を比較検討することが望ましいでしょう。

離檀料などの金銭トラブルに発展した場合や、親族間で意見がまとまらず法的な対応が必要になった場合には、弁護士への相談が選択肢になります。無料法律相談を実施している自治体や弁護士会の窓口を活用すれば、初期段階での相談は費用をかけずに行うことも可能です。

離檀料や高額請求のトラブルは消費生活センターに相談できる

石材店や霊園、葬儀業者とのあいだで「説明された内容と実際の請求が違う」「高額な料金を一方的に請求された」といった金銭トラブルに発展した場合には、国民生活センターや、お住まいの自治体が窓口となっている消費生活センターに相談する方法もあります。国民生活センターは国が運営し、消費生活センターは地方自治体が運営しているという違いはありますが、両者は連携しており、どちらに相談しても構いません。電話や対面での相談を無料で受け付けているため、契約前後を問わず、少しでも不審に感じた点があれば早めに相談しておくと安心です。

このほか、終活や墓じまいに特化した相談窓口を利用する方法もあります。こうした窓口では、寺院や石材店、行政手続きを横断的に案内してもらえるため、何から手をつければよいかわからないという段階でも相談しやすくなっています。窓口によっては無料で何度でも相談できるところもあり、まずは情報収集の入り口として活用するとよいでしょう。

また、見落とされがちですが、自治体そのものが相談先になる場合もあります。一部の自治体では、公営墓地を対象に墓石の解体・撤去費用の一部を補助する制度を設けています。補助の対象や金額は自治体によって差があり、数万円から数十万円程度が目安とされ、対象は基本的に自治体が運営する公営墓地に限られ、寺院墓地や民間霊園は対象外となることが多いようです。こうした制度の有無は、墓がある自治体の窓口やホームページで確認できるため、墓じまいを検討し始めた段階で一度問い合わせておくとよいでしょう。

墓じまいを検討し始める時期は終活を始めたときが最多

いつから動き出せばよいのかも、継承者不在の悩みを抱える人がよく迷うポイントです。墓じまいを検討し始める代表的なきっかけとしては、お盆やお彼岸、年末年始、法事のタイミング、親や配偶者が亡くなったとき、そして自分自身が終活を始めたときなどが挙げられます。実際に墓じまいの手続きを終えた人の多くが「早めにしてよかった」と感じているとされ、迷っている段階そのものが、動き出すきっかけとして十分な理由になり得るのではないでしょうか。

一方で、避けたほうがよい時期もあります。菩提寺や霊園が繁忙期を迎えるお盆・お彼岸・年末年始は日程調整が難しくなりやすく、地域によっては梅雨や積雪の時期に墓石の解体工事が難航することもあります。また、墓じまいには相談から新しい供養先との契約まで、短くて1か月程度、長ければ数年単位の時間がかかることもあります。自分の体力や気力があるうちに動き出したほうが、精神的にも肉体的にも負担が少なく済むという見方もあり、迷っているうちに先送りにするより、早めに情報収集だけでも始めておくことが後悔しない墓じまいにつながりやすくなります。

相談前に管理者の連絡先と遺骨の数を確認しておく

相談先に足を運ぶ前に、いくつか準備しておくと話がスムーズに進みます。まず、現在の墓の所在地、墓地の名称、管理者(寺院や霊園)の連絡先を確認しておくこと。次に、埋葬されている遺骨の数(柱数)、墓の大きさや面積、土葬の遺体が含まれているかどうかなど、把握できる範囲で情報を整理しておくこと。そして、家族や親族の中で誰がどのような意見を持っているかを事前にすり合わせておくことも欠かせません。墓の維持管理や遺骨に関わる親族全員から同意を得ておくことは、後々のトラブルを避けるうえで特に重要なポイントになります。

継承者がいない、あるいは将来的にいなくなる見込みがあるという事情は、早い段階で家族全員に共有しておくことが望ましいといえます。自分ひとりで抱え込んでしまうと、いざというときの選択肢が狭まってしまいます。親が元気なうち、あるいは自分自身が動ける年代のうちに、家族で話し合う機会を持つことが、後々のトラブルを防ぐもっとも確実な方法だといえるでしょう。

墓じまいの相談は元気なうちに始めるほど選択肢が広がる

50歳代・60歳代は、自分自身の老後資金を準備しながら、親の介護や相続にも向き合う世代です。老後資金を確保することに加え、実家の財産整理や、墓を含めた将来の負担を子ども世代へ残さないための準備も、ますます重視されるようになっています。

墓じまいや相続に向けた生前整理を進めるには、専門家への依頼費用や墓石の撤去費用など、一定の資金も必要になります。そのため、自分の家計や貯蓄状況を把握する「お金の整理」と、墓や財産をどのように残すか、あるいは整理するかを考える「終活」は、切り離して考えることはできません。

墓守娘として長年墓を守ってきた人にとって、継承者がいないという悩みは簡単に答えの出せる問題ではありません。ですが、寺院、役所、行政書士、石材店、弁護士、国民生活センターや消費生活センター、終活相談窓口といった相談先は複数存在しており、ひとりで抱え込む必要はないのです。それぞれの窓口には得意分野があり、費用や見積もりのことなら石材店、行政手続きなら役所や行政書士、金銭トラブルや高額請求なら弁護士や消費生活センター、何から始めればよいかわからないという段階なら終活・墓の相談窓口というように、悩みの内容に応じて使い分けることで、必要な情報にたどり着きやすくなります。

元気なうちからこれらの相談先を活用し、家族と計画をすり合わせておくことは、自分自身の将来への安心につながるだけでなく、結果として大切な子どもたちへ余計な負担を残さない暮らしにつながっていくはずです。墓の継承者がいないという悩みは、決して自分ひとりだけの特殊な事情ではありません。同じ立場にある人が数多く相談窓口を訪れているという事実を知っておくだけでも、一歩を踏み出しやすくなるのではないでしょうか。

なお、個別の相続税や法的手続きについては、税理士や弁護士など専門家に相談することが推奨されています。墓じまいや改葬に関する制度や費用、補助金の有無は自治体や寺院、業者によって差があり、また時期によって内容が更新されることもあるため、実際に手続きを進める際には、必ず最新の情報を墓のある自治体や寺院、専門の相談窓口で直接確認してください。

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