お墓には、墓石を建てる一般墓のほか、樹木葬や納骨堂、永代供養墓、散骨、手元供養など複数の種類があります。株式会社鎌倉新書が実施した「第15回お墓の消費者全国実態調査」によると、2024年に購入されたお墓では樹木葬が48.7%と最も多く、一般墓は21.8%、納骨堂は19.9%という結果でした。2010年時点では約91%が一般墓を選んでいたので、十数年でお墓選びの中心は大きく移り変わったことになります。少子化や核家族化が進み、都市部に暮らす子や孫がお墓を継げないという事情を抱える家庭が増えたことが、この変化を後押ししています。この記事では、運営主体と埋葬形態、供養スタイルという3つの切り口からお墓の種類を整理し、費用相場やメリット・デメリットまで具体的に解説します。

お墓の種類は運営主体と埋葬形態、供養スタイルの3つで分類される
お墓の種類を理解するには、まず3つの視点で整理すると分かりやすくなります。第一に運営主体による分類で、自治体が管理する公営墓地、民間企業や公益法人が管理する民営墓地、寺院が管理する寺院墓地の3種類に分かれます。第二に埋葬形態による分類で、個別に埋葬される個別墓と、複数の遺骨をまとめて埋葬する集合墓、合祀墓に分かれます。第三に供養のスタイルによる分類で、墓石を建てる一般墓のほか、樹木をシンボルとする樹木葬、屋内に遺骨を安置する納骨堂、自然に還す散骨、自宅で保管する手元供養など、選択肢は広がっています。以下では供養スタイル別の種類から順に見ていき、そのあとで運営主体別・埋葬形態別の違いも解説します。
樹木葬が48.7%で最多、一般墓は21.8%まで縮小した
2024年に購入されたお墓のうち、樹木葬は48.7%を占め、種類別で最も多い選択肢になりました。一般墓は21.8%、納骨堂は19.9%で、これに永代供養墓や散骨などが続きます。2010年の調査では一般墓が約91%を占めていたことを踏まえると、この十数年でお墓選びの主役は入れ替わったといえます。背景にあるのは、子どもがいない世帯や、子どもが遠方に住んでいて墓守を頼めない世帯の増加です。継承者を必要としない供養方法が支持を広げた結果、樹木葬をはじめとする永代供養型のお墓が数の上でも一般墓を上回りました。
一般墓の費用は80万円から300万円、継承者の確保が課題になる
一般墓は、墓地の区画を取得し墓石を建てて遺骨を納める、昔からある形式のお墓です。「家墓」とも呼ばれ、一つの墓に家族や親族が代々埋葬され、子孫が継承していく仕組みになっています。費用は永代使用料と墓石代を合わせて、平均80万円から300万円程度が目安です。墓石のデザインは伝統的な和型に加えて、シンプルな洋型を選ぶ人も増えています。
自分たちだけの独立したお墓を持てること、家族が集うお墓参りの場を代々受け継げること、宗旨・宗派に応じた供養ができることは一般墓の強みです。一方で、初期費用が高額になりやすいこと、年間管理費が継続的にかかること、そして何より継承者が必要になることが課題として残ります。子どもがいない、子どもに負担をかけたくないといった理由から、一般墓を持たない選択や、既存の一般墓を手放す墓じまいを選ぶ人も増えています。
永代供養墓は管理者が供養を代行する契約形態で樹木葬や納骨堂も含む
永代供養墓とは、寺院や霊園の管理者が遺族に代わって永代にわたり供養と管理を行うお墓の総称です。個別に墓石を建てる必要がなく、管理や供養そのものを管理者側が担ってくれる点が最大の特徴です。継承者がいない人や、子孫に将来の負担をかけたくないと考える人に選ばれ、需要は年々高まっています。
永代供養墓には、樹木葬や納骨堂、合祀墓など複数の形態が含まれます。「永代供養」という言葉自体は特定の墓の形式ではなく、供養の仕組みや契約形態を指す点に注意が必要です。多くの永代供養墓では、一定期間は個別に安置され、その後合祀される仕組みになっています。承継者を必要としないこと、管理の手間や将来の負担を減らせること、宗旨・宗派を問わないケースが多いこと、一般墓より費用を抑えられることがメリットです。反対に、合祀されると遺骨を個別に取り出せなくなる点はデメリットとして押さえておく必要があります。
樹木葬は里山型・都市型・庭園型の3タイプ、平均購入価格は63.7万円
樹木葬は、墓石の代わりに樹木や草花をシンボルとして遺骨を埋葬する供養方法です。永代供養が前提になっており、承継者を必要としないこと、宗旨・宗派を問わないことが多いこと、自然に還る感覚を得られること、費用を抑えられることから人気が急速に高まりました。2024年の調査で購入割合48.7%を記録し、樹木葬はもはや新しい選択肢ではなく主流の一つになっています。
樹木葬は大きく里山型、都市型(公園型)、庭園型の3種類に分かれます。里山型は、自生する樹木や区画ごとに植えられた樹木の周辺に個別に埋葬するスタイルで、広い敷地を確保しやすい郊外に立地することが多く、費用相場は土地使用料や永代供養料を含めて10万円から80万円程度です。ただしアクセスの面でお墓参りがしにくくなる場合があります。都市型(公園型)は、駅からアクセスの良い寺院や霊園で行われる樹木葬です。地価が高いため里山型より費用は高くなる傾向がありますが、日常的にお参りしやすい点が支持されています。庭園型は、霊園内に整備された庭園のような区画にシンボルツリーや草花とともに埋葬するタイプで、都市型に近い性質を持ちながら景観への配慮が特徴です。
樹木葬の平均購入価格は63.7万円で、過去5年間を通じても60万円から70万円程度で推移してきました。鎌倉新書の実態調査では、購入者873人のうち653人、約75%が「継承の課題」を理由に樹木葬を選んだと回答しています。承継者不在という社会的な事情が、樹木葬の人気を支えている実態がうかがえます。
納骨堂はロッカー型から自動搬送型まで4タイプ、費用は20万円から150万円
納骨堂は、屋内の専用施設に遺骨を安置する形式のお墓です。天候に左右されずお参りできること、駅近など利便性の高い立地が多いこと、一般墓より費用を抑えられることから、都市部に住む人を中心に選ばれています。
ロッカー型は20万円から、自動搬送型はICカードで遺骨を呼び出す
ロッカー型は、コインロッカーのような区画に骨壺を安置するシンプルな形式で、費用相場はおよそ20万円からと最も抑えやすいタイプです。仏壇型は、上段が仏壇スペース、下段が納骨スペースになっていて位牌や仏像を安置でき、費用相場はおよそ30万円からです。位牌式は、位牌を祀るスペースと遺骨の安置スペースが別になっているタイプで、10万円ほどから利用できます。自動搬送型は、ICカードなどでお参りブースに遺骨を呼び出す最新式の納骨堂で、都市部の大規模施設に多く、バリアフリーで快適にお参りできる設計が特徴です。
納骨堂全体の購入費用は20万円から150万円程度が相場で、一人用ではおよそ40万円前後、夫婦用では60万円から80万円前後、家族用では100万円程度が目安になります。これらに加えて、年間0円から2万円程度の管理費が別途かかるのが一般的です。墓石を必要とする一般墓の相場が100万円から350万円程度であることと比べると、納骨堂は費用面の負担を大きく抑えられる選択肢だといえます。
散骨は海洋・山林・空中の3方法、委託散骨なら2万円から可能
散骨は、火葬後の遺骨を粉末状に加工したうえで、海や山、空などの自然の中にまく供養方法です。お墓を持たない選択として、また自然に還りたいという故人の遺志を尊重する方法として利用されています。船をチャーターして海にまく海洋散骨、山や森林でまく山林散骨、気球などを使って空にまく空中散骨という方法があり、なかでも海洋散骨は知名度が高まっています。業者が代行する委託散骨、家族が同乗せず遺骨だけを預ける形式、遺族が船に乗り立ち会う乗船散骨など、プランは複数用意されています。
費用相場はプランによって幅があり、委託散骨であれば2万円程度から可能な場合もある一方、複数の家族と合同で乗船する場合やチャーター船を貸し切る場合には20万円から50万円程度になることもあります。遺骨を粉末状にする粉骨の作業は自分で行うこともできますが、専門業者に粉骨から散骨まで一連のサービスとして依頼するケースも増えています。散骨は法律で明確に禁止されているわけではありませんが、節度を持って行うことが求められ、実施エリアや方法について自治体ごとにガイドラインが定められている場合もあるため、信頼できる業者を通じて行うことが勧められます。
手元供養はアクセサリー型が5千円から、遺骨ダイヤモンドは45万円から
手元供養とは、故人の遺骨の一部、あるいは全部を自宅など身近な場所で保管し供養する方法です。決まった形式や宗教的な制約が少なく、故人を身近に感じ続けられる供養のかたちとして選ぶ遺族が増えています。遺骨や遺灰の一部を封入したペンダントやブレスレット、指輪などのアクセサリー型は、費用相場がおよそ5千円から3万円程度と手頃です。故人の遺骨から炭素を抽出し人工的にダイヤモンドへ加工する遺骨ダイヤモンドというサービスもあり、ネックレスや指輪、ピアスに加工できますが、費用は45万円から200万円程度と幅があります。このほか、ミニ骨壺やオブジェ型の容器に遺骨を納めて自宅に安置する方法も広く利用されています。
手元供養は遺骨のすべてを保管するケースもあれば、一部だけを手元に残し残りは樹木葬や散骨、永代供養墓など別の方法で供養する分骨を前提にしたケースも一般的です。手元供養だけでは最終的な遺骨の帰着先が定まらないため、将来的にどう供養を締めくくるかを事前に考えておく必要があります。
両家墓は一人っ子同士の結婚で生じる承継者不足に対応する選択肢
両家墓は、異なる二つの家のお墓を一つにまとめた形式で、二世帯墓とも呼ばれます。一人っ子同士の結婚などによって双方の実家のお墓を継ぐ人がいなくなるケースに対応する選択肢として利用されています。一つの墓石に両方の家名を刻む形式や、それぞれの家名を刻んだ墓石を並べて設置する形式など、いくつかのバリエーションがあります。両家墓は承継者不足という課題への現実的な解決策になりますが、双方の家の意向や宗旨・宗派の違いを事前にすり合わせておく必要があり、親族間のトラブルを避けるための話し合いが欠かせません。
個別墓・集合墓・合祀墓の違いは遺骨を個別に取り出せるかどうかにある
お墓は埋葬の形態によっても分類できます。個別墓は、一家族や個人が単独で使用する区画に埋葬される形式で、一般墓の多くはこれにあたります。永代供養墓のなかにも一定期間は個別に安置される個別墓タイプがありますが、契約で定めた期間が過ぎると最終的には合祀に移行するのが一般的です。集合墓は、複数の人の遺骨を一つの区画にまとめて埋葬するお墓の総称で、永代供養墓、合葬墓、合祀墓、合同墓など呼び方はさまざまです。象徴となるモニュメントや慰霊碑の下に、個別または合同で遺骨を安置する形式が一般的です。合祀墓(合葬墓・合同墓)は、複数の遺骨を一つの場所にまとめて埋葬する形式で、個別の区画を持ちません。継承者が不要なこと、維持費が安いこと、個別のお墓掃除が不要なことはメリットですが、一度合祀すると特定の遺骨だけを取り出せなくなる点には注意が必要です。
公営墓地は費用を抑えやすいが居住条件や抽選のハードルがある
お墓の種類は、それを管理・運営する主体によっても違いがあります。公営墓地は、都道府県や市区町村などの地方自治体が管理・運営する墓地です。永代使用料や管理料が比較的低めに設定されていることが多く、指定石材店の制度がないためどの石材店にも施工を依頼できます。運営主体が自治体であるぶん安定性が高く、信頼性の面で評価されやすい一方、その自治体に一定期間以上居住していることや遺骨をすでに所持していることなど申し込み条件があり、人気の高い公営墓地では抽選になることも珍しくありません。
民営墓地は、公益法人や宗教法人、民間企業などが管理・運営する墓地です。申し込みの資格や条件が少なく、宗旨・宗派を問わない墓地が多いのが特徴で、生前申し込みや改葬、分骨での申し込みにも柔軟に対応しているケースが多く見られます。公営墓地と比べると利用料金はやや高めになる傾向がありますが、休憩所や法要用のホールなど付属設備が充実している施設が多いのも特徴です。
寺院墓地は、寺院が管理・運営する墓地です。日々の読経や、お彼岸の時期に行われる彼岸法要など、僧侶によるしっかりとした供養を継続的に受けられる点が最大のメリットです。一方で、多くの場合その寺院の檀家になることが求められ、寺院ごとに定められた宗旨・宗派に沿う必要がある点は留意しておく必要があります。
改葬件数は10年でおよそ2倍の17万6105件に増えた
近年のお墓選びの変化を理解するうえで欠かせないのが、墓じまいや改葬の増加という背景です。厚生労働省の衛生行政報告例によると、2013年度に8万8397件だった改葬件数は年々増え続け、2024年度には17万6105件と過去最多を更新しました。この10年でおよそ2倍にまで増えたことになります。
墓じまいや改葬を検討する理由として最も多いのは「お墓が遠方にあること」で、次いで「継承者がいないこと」が挙げられています。地方に先祖代々のお墓があっても、子や孫の世代が都市部で暮らしているためお墓参りが難しくなり、既存のお墓を撤去して遺骨を近くの永代供養墓や樹木葬、納骨堂へ移す流れが全国的に広がっています。都市近郊エリアでも墓じまいが増えているという報道があり、この傾向は今後も続くと見られます。承継者を必要としない樹木葬や永代供養墓、納骨堂といった供養スタイルが支持を広げている最大の要因は、こうした背景にあるといえるでしょう。
永代供養の個別安置期間は33回忌(満32年)を区切りとするプランが最多
永代供養墓や樹木葬、納骨堂を検討する際に見落としがちなのが、個別に安置される期間の存在です。永代供養という言葉は「ずっと個別に遺骨が残る」という意味ではありません。多くの場合、一定期間は個別のスペースで安置されたのち、契約で定めた期限が来ると他の方の遺骨と合祀される仕組みになっています。
個別安置期間として最も多く採用されているのは、33回忌(満32年)を区切りとするプランです。仏教では、亡くなった人は33回忌までに生前の罪が償われ、その後極楽浄土へたどり着いて仏になるとされていることが、この年数が選ばれる理由の一つとされています。13回忌や17回忌、50回忌を区切りとするプランや、年忌法要とは関係なく「20年間の使用許可」といった形で利用年数を定める施設もあります。納骨堂など集合型の施設では、3年、5年、10年といった比較的短い期間を設定しているケースも見られます。個別安置期間が満了すると、遺骨は霊園内の合祀墓へ移され、以降は他の方々の遺骨とともに霊園や寺院が存続する限り永代にわたって供養されます。一度合祀されると特定の遺骨だけを取り出すことは基本的にできなくなるため、契約前に個別安置期間の長さとその後の取り扱いを確認しておくことが欠かせません。
ペットと入れるお墓は永代使用料と供養料で20万円から150万円
家族の一員としてペットと暮らしてきた人にとって、ペットと同じお墓に入りたいというニーズも年々高まっています。ペットと人が一緒に入れるお墓には、ペット霊園での個別埋葬や合同埋葬、納骨堂や供養塔への安置、ペットと人が共に入れる樹木葬などの選択肢があります。
費用相場は形式によって幅があり、ペット専用の区画であれば永代使用料と永代供養料を合わせて5千円から10万円程度、人とペットが一緒に入れる墓地・霊園では永代使用料と永代供養料を合わせて20万円から150万円程度が目安です。人とペットが一緒に入れる樹木葬の場合は、初期費用がおよそ20万円から100万円程度とされています。このほか、納骨料が0円から5千円程度、名前を刻む銘板の設置費用が2万円から10万円程度かかるケースが一般的です。すべての霊園や寺院がペットとの合葬に対応しているわけではないため、検討する際は事前に施設側へ確認しておく必要があります。
寿陵は不動産取得税や固定資産税がかからず相続税の負担も抑えられる
生前にあらかじめお墓を建てておくことを寿陵と呼びます。古くから縁起が良いものとされ、自分自身が納得のいくお墓を生きているうちに用意できること、そして来世での住まいを得たという安心感が本人にも家族にも心のゆとりをもたらすことがメリットです。残された家族にお墓探しや準備の負担をかけずに済む点も、寿陵を選ぶ人が増えている理由の一つになっています。
寿陵には税制上のメリットもあります。お墓や墓地は祭祀財産として扱われ、通常の不動産のような不動産取得税はかからず、固定資産税や都市計画税の対象にもなりません。祭祀財産は相続財産に含まれないため、遺産分割や相続税の課税対象外になります。そのため、生前にお墓などの祭祀財産を購入しておくと、その分だけ課税対象となる現金や預貯金を減らし、結果として相続税の負担を軽減できる場合があります。ただし、あまりに高額なお墓を生前に購入すると、税務上行き過ぎた節税とみなされる可能性もあるため、一般的な相場の範囲内で検討することが望ましいとされています。
宇宙葬は55万円から、バルーン葬は20万円台から利用できる
従来の枠組みにとらわれない、新しい供養のかたちも登場しています。その代表例が宇宙葬とバルーン葬です。宇宙葬は、遺骨の一部を小型のカプセルに納め、ロケットに搭載して宇宙へ打ち上げる供養方法です。打ち上げられたカプセルを積んだ人工衛星は、地球を数日から数年かけて周回したのち、最終的には流れ星となって大気圏に突入し燃え尽きます。日本初の宇宙葬専門ベンチャー企業も登場していて、料金は少量の遺骨を納めるカプセルで55万円(税込)程度から、遺骨の一部を納める本格的なプランでは110万円(税込)程度からとされています。
バルーン葬は、遺骨や遺灰を特殊素材の大きな風船に載せて空へ飛ばし、高度およそ30キロメートルの成層圏に達した時点でバルーンが自然に破裂し、その場で散骨される仕組みの供養方法です。宇宙葬に比べると費用を抑えやすく、20万円台から利用できるプランもあります。宇宙葬やバルーン葬はまだ一般的な選択肢とまではいえませんが、大空や宇宙に還りたいという故人や遺族の思いに応える供養のかたちとして、少しずつ認知が広がっています。
お墓の種類を選ぶ際は継承者の有無と費用を軸に比較する
数あるお墓の種類から自分たちに合った形式を選ぶには、いくつかの観点を整理しておく必要があります。まず継承者の有無です。子どもや孫にお墓を継いでもらうことを前提とするのか、それとも継承者を必要としない永代供養型を選ぶのかによって、選択肢は大きく変わります。次に費用です。種類によって初期費用も維持費も大きく異なるため、予算感を明確にしたうえで比較する必要があります。主なお墓の種類と費用相場、継承者の要否をまとめると次のようになります。
| お墓の種類 | 費用相場 | 継承者の要否 |
|---|---|---|
| 一般墓 | 80万円〜300万円程度 | 必要 |
| 樹木葬 | 平均63.7万円(60万円〜70万円で推移) | 不要 |
| 納骨堂 | 20万円〜150万円程度 | 不要 |
| 永代供養墓(合祀タイプ) | 一般墓より安価な施設が中心 | 不要 |
| 手元供養(アクセサリー型) | 5千円〜3万円程度 | 分骨先の確保が別途必要 |
| 散骨(委託プラン) | 2万円程度から | 不要 |
立地とアクセスも重要な要素です。お墓参りのしやすさを重視するなら、自宅や実家からの距離や公共交通機関でのアクセスを確認しておく必要があります。里山型の樹木葬のように郊外に立地するタイプは費用を抑えられる反面、定期的なお参りがしにくくなる場合があります。宗教・宗派の制約も見逃せません。寺院墓地の多くは特定の宗旨・宗派に属することを求められますが、民営の樹木葬や納骨堂、永代供養墓の多くは宗旨・宗派を問わないケースが一般的です。家族や親族との話し合いも欠かせません。両家墓や散骨、手元供養など従来と異なる供養スタイルを選ぶ場合には、価値観の違いから親族間で意見が分かれることもあります。早い段階から家族で希望をすり合わせておくことが、将来の後悔を避ける近道になります。
全国石製品協同組合が実施したアンケートでは、お墓を建てた後に後悔したことがないと回答した一般墓地の利用者は73.3%にのぼりました。多くの人が納得したうえでお墓を選んでいることがうかがえます。後悔を避けるには、一つの霊園やプランだけで即決せず、複数の霊園・石材店を比較したうえで、可能であれば実際に現地を見学してから判断することが勧められます。見学の際には、永代使用料・墓石代・管理費の内訳が明確になっているか、将来的に追加費用が発生する可能性はないか、高齢になっても無理なく通える立地かどうかを確認しておくとよいでしょう。人気を理由に樹木葬を安易に選んでしまうと、後から想定と違ったと感じるケースもあるため、見た目のイメージだけでなく契約内容や供養の仕組みまで理解したうえで選ぶことが、後悔のないお墓選びにつながります。
継承者がいない場合は家族信託や公正証書遺言での備えが有効
継承者がいないという悩みは、お墓の種類選びにおいて最も大きな動機の一つになっています。お墓や仏壇などは法律上祭祀財産と呼ばれ、通常の相続とは異なるルールで承継されます。被相続人が生前に承継者を指定していればその人が引き継ぎ、指定がない場合は慣習に従って決められる仕組みです。承継者がいないままお墓が放置されると、最終的には無縁仏として扱われ、遺骨は他の方の遺骨と合わせて埋葬され、後から個別に引き取ることができなくなります。
こうした事態を避ける対策はいくつかあります。一つは家族信託の活用です。家族信託を利用すれば、自分が認知症などで判断能力を失った場合に備えて、信頼できる家族にお墓を含む財産の管理や処分を任せることができ、自分が亡くなったあと、さらにその次の承継先まであらかじめ指定しておくことも可能です。もう一つは遺言書の作成で、なかでも公証役場に原本が保管される公正証書遺言は信頼性の高い方法として勧められています。
そして最も直接的な対策が、この記事で紹介してきたような、承継者を必要としない供養方法を選ぶことです。樹木葬は一般墓より費用を抑えられるうえ、夫婦や親族だけでなく、同性パートナーやペットなど希望する相手と一緒に埋葬できる霊園も増えています。散骨や永代供養墓、納骨堂も同様に、承継者を前提としない供養方法として広く選ばれるようになりました。すでに先祖代々のお墓があり承継者が見つからない場合には、自分の代で墓じまいを行い、遺骨を永代供養型の施設へ移すことも現実的な選択肢の一つです。








