お墓の購入は人生で何度も経験するものではなく、多くの方にとって初めての経験となります。「いつ購入すべきか」「どんな日に契約するのがよいのか」といった疑問を持つ方も少なくありません。お墓は故人を弔う大切な場所であるとともに、家族の心の拠り所ともなる重要な場所です。そのため、購入時期や契約日については慎重に検討したいものです。
この記事では、お墓の購入に関する時期や吉日、開眼法要・納骨法要の時期、墓地選びのポイント、さらにはお墓にまつわる俗説の真偽まで、幅広く解説していきます。ぜひ参考にして、後悔のないお墓選びの参考にしてください。

お墓を購入するのに最適な時期はいつ?生前購入と死後購入のメリット・デメリット
お墓の購入時期は大きく分けて「生前購入」と「死後購入」の2つに分けられます。それぞれにメリット・デメリットがありますので、詳しく見ていきましょう。
生前購入のメリット
生前にお墓を購入する最大のメリットは、自分の希望通りのお墓を選べるという点です。場所や墓石のデザイン、費用などを自分自身で決めることができるため、納得のいくお墓づくりが可能となります。
また、経済的な観点からも生前購入には利点があります。お墓は祭祀財産として相続税の対象外となるため、現金で持っているよりも相続税の節税効果が期待できます。
さらに、家族に負担をかけないという点も大きなメリットです。もしもの時に遺族がお墓の手配に追われるという状況を避けられます。
生前購入に適した年齢
生前購入を考える場合、いつ頃から検討し始めるのが良いのでしょうか。楽天インサイトの調査によると、多くの人が「60代から終活を始めたい」と考えているようです。お墓の購入も終活の一環と考えると、50代後半から60代がお墓の購入を検討し始める適齢期と言えるでしょう。
また、年齢だけでなく、定年退職や子どもの独立、配偶者や親族の死去など、人生の転機をきっかけにお墓の購入を考え始める方も多いです。
死後購入の場合の時期
一方、亡くなった後にお墓を購入する場合はどうでしょうか。一般的には、故人が亡くなってから「四十九日法要」に合わせて納骨を行うことが多いです。しかし、お墓の完成には約2~3ヶ月かかるため、実際には一周忌に合わせて建てる方が現実的です。
永代供養墓や納骨堂など、墓石を必要としないタイプのお墓であれば、比較的短期間で準備できるため、四十九日に間に合わせることも可能です。
購入時期を決める際の注意点
お墓の購入時期を決める際には、以下の点に注意すると良いでしょう。
- 墓地の空き状況: 人気のある墓地は予約が埋まっていることも多いため、早めの検討が必要です
- 予算の準備: お墓の購入には相応の費用がかかるため、計画的な資金準備が重要です
- 家族との相談: お墓は家族全員が関わるものですので、家族全員の意見を聞いておくことが大切です
お墓を契約する際の吉日とは?六曜の意味と選び方
お墓を契約する日を決める際、「縁起の良い日にしたい」と考える方も多いでしょう。特に日本では「六曜」と呼ばれる暦注が広く知られています。ここでは、お墓の契約に関する吉日について詳しく見ていきましょう。
六曜とは何か
六曜とは、日本の暦の中でも特に有名な暦注の一つで、以下の6つに分けられます。
- 大安(たいあん): 六曜の中で最も縁起が良いとされる日。「大いに安し」の意味で、何事を始めるにも吉とされています。
- 友引(ともびき): 「友を引く」という意味で、特に葬儀には避けられることが多い日です。ただし、朝と夕方は吉、昼は凶とされています。
- 先勝(せんしょう): 「先んずれば勝つ」という意味で、午前中は吉、午後は凶とされています。
- 先負(せんぶ): 「先んずれば負ける」という意味で、午前中は凶、午後は吉とされています。
- 仏滅(ぶつめつ): 「すべてが滅する日」という意味で、最も凶とされる日です。ただし、仏事には良いとされることもあります。
- 赤口(しゃっこう): 基本的に凶日ですが、正午だけは吉とされています。
お墓の契約に適した日
お墓の契約には、一般的に大安が最も良いとされています。次いで友引の朝や夕方も良いとされることがあります。ただし、これはあくまで一般的な考え方であり、必ずしも六曜にこだわる必要はありません。
特に注意したいのは、六曜と仏教は本来関係がないということです。例えば浄土真宗では「日の良し悪しによって物事が決まるのではなく、自身の行いによって決まる」という考え方があります。そのため、宗派によっては六曜を気にする必要がないケースもあります。
家族が集まりやすい日を優先する
実際には、六曜よりも「家族全員が参加できる日」を優先することが大切です。お墓は家族全員で大切にしていくものですから、契約時には可能な限り家族全員が立ち会えるようにしましょう。
また、お彼岸やお盆など、親族が集まりやすい時期を選ぶことも一つの方法です。六曜と合わせて家族が集まりやすい日を選ぶことができれば理想的です。
うるう年のお墓建立について
「うるう年にお墓を建ててはいけない」という俗説を聞いたことがある方もいるかもしれません。この俗説は江戸時代に始まったとされています。
当時は旧暦を使用しており、うるう年は通常より1ヶ月長い13ヶ月ありました。しかし給料は12ヶ月分しかもらえなかったため、出費の大きいお墓の購入などは避ける風習があったのです。
現代ではうるう年も12ヶ月であり、この俗説にとらわれる必要はありません。資金に余裕があれば、うるう年でもお墓を建てることに問題はないでしょう。
お墓の開眼法要・納骨法要はいつ行うべき?時期と準備について
お墓を建てた後には、「開眼法要」と「納骨法要」という2つの重要な法要があります。これらの法要はいつ行うべきなのでしょうか。
開眼法要とは
開眼法要とは、新しく建てたお墓に「魂を入れる」儀式です。お墓は建てただけでは単なる「石」に過ぎませんが、開眼法要を行うことで初めて「仏塔」として成立します。宗派によって呼び方は異なり、「入魂式」「魂入れ」「お性根入れ」などとも呼ばれます。
開眼法要の時期
開眼法要は、お墓が完成してからなるべく早く行うのが望ましいとされています。一般的には、一周忌や彼岸、お盆などの仏事に合わせて行われることが多いです。
生前にお墓を購入した場合は、完成後速やかに開眼法要を行うのが良いでしょう。開眼法要を長期間行わないままでいるのは避けたほうが良いとされています。
納骨法要とは
納骨法要とは、故人の遺骨をお墓に納める際に行う法要です。葬儀後、しばらくの間は遺骨を自宅に安置し、その後お墓に納骨するのが一般的です。
納骨法要の時期
納骨の時期については、宗派によって考え方が異なります。一般的には四十九日や百箇日の法要に合わせて行われることが多いです。
ただし、前述のようにお墓の完成には2~3ヶ月かかるため、四十九日に間に合わない場合は、一周忌や三回忌などの節目に合わせて行うこともあります。
法要の準備
開眼法要や納骨法要を行う際には、以下のような準備が必要です。
- 僧侶の手配: 菩提寺がある場合はそちらにお願いします。菩提寺がない場合は、石材店などに相談してみると良いでしょう。
- 法要の日程調整: 僧侶や参列者の都合を確認して日程を決めます。
- 仏具の準備: 法要に必要な仏具(花、線香、ロウソクなど)を用意します。
参列者への連絡
開眼法要や納骨法要には、親族や近しい方に参列してもらうのが一般的です。早めに日程を伝えておくことで、多くの方に参列してもらえるよう配慮しましょう。
墓地選びで失敗しないためのポイントは?立地と環境の重要性
お墓は一度購入すると、長期間にわたって使用するものです。そのため、墓地選びは慎重に行う必要があります。ここでは、墓地選びで失敗しないためのポイントについて解説します。
立地の重要性
墓地選びで最も重要なのは立地です。以下のポイントを確認しましょう。
- アクセスの良さ: 自宅や親族の家から近く、交通の便が良い場所を選びましょう。将来的にお年寄りがお参りに行くことも考慮し、坂道や階段が少ない場所が理想的です。
- 公共交通機関の利便性: 車を持たない方や将来車の運転ができなくなった場合のことを考え、バスや電車でもアクセスしやすい場所が良いでしょう。
周辺環境のチェック
次に重要なのは周辺環境です。以下のポイントに注意しましょう。
- 日当たりと風通し: 日当たりや風通しが良いと、気持ちよくお参りができます。また、墓石の劣化も防ぐことができます。
- 管理状態: 墓地全体の管理状態をチェックしましょう。草むらが放置されていないか、害虫などが発生していないかなど、定期的に管理されているかどうかが重要です。
墓地の管理形態による違い
墓地の管理形態には、主に以下の3つがあります。それぞれの特徴を理解して選びましょう。
- 寺院墓地: お寺が管理する墓地です。檀家になる必要があり、別途費用やお布施が必要になることがあります。
- 公営墓地: 自治体が管理する墓地です。比較的安価ですが、申込制限や抽選になる場合があります。また、生前での墓地購入ができない場合が多いです。
- 民営霊園: 民間企業が管理する霊園です。費用は高めですが、規制が少なく、生前墓地購入が可能なことが多いです。
規格墓所と自由墓所
墓石のデザインにこだわりたい場合は、規格墓所か自由墓所かも確認しましょう。
- 規格墓所: 墓石の大きさ、高さ、形、デザインなどが規定されています。
- 自由墓所: 墓石の形状などが自由に選べます。
永代使用料と管理費
墓地の費用には、主に永代使用料と管理費があります。
- 永代使用料: 墓地を使用する権利を得るための一時金です。
- 管理費: 墓地の清掃や草むしりなどの維持管理のために毎年支払う費用です。
永代使用料だけでなく、毎年の管理費についても必ず確認しておきましょう。予想以上に高額な場合があります。
うるう年にお墓を建てるのは良くない?お墓にまつわる俗説の真偽
お墓に関しては様々な俗説があります。ここでは、よく聞かれるお墓にまつわる俗説の真偽について解説します。
うるう年の墓石建立について
「うるう年にお墓を建ててはいけない」という俗説は、前述のとおり江戸時代の旧暦に由来するものです。当時のうるう年は13ヶ月あったのに対し、収入は12ヶ月分しかなかったため、経済的な理由から避けられていました。
現代では暦も変わり、うるう年も12ヶ月ですので、この俗説に従う必要はありません。経済的に余裕があれば、うるう年でもお墓を建てることに問題はないでしょう。
大安吉日にこだわる必要はあるか
前述のとおり、六曜と仏教は本来関係がありません。そのため、必ずしも大安などの吉日にこだわる必要はないと言えます。
特に浄土真宗では「日の吉凶によって物事が決まるのではなく、自身の行いによって決まる」という考え方があるため、日の良し悪しを気にする必要はないとされています。
友引の日のお墓参りについて
「友引の日はお墓参りをしてはいけない」という俗説もありますが、これも根拠はありません。友引の日に葬儀を避ける習慣はありますが、お墓参りに関しては特に制限はありません。
方角に関する俗説
「北向きの墓地は良くない」などの方角に関する俗説もあります。これは風水に基づく考え方ですが、仏教的には特に根拠はありません。実際には、日当たりや風通しの良さなど、環境面での快適さを優先して選んだ方が良いでしょう。
実際に重要なこと
お墓に関する俗説よりも重要なのは、お墓を大切にする気持ちです。定期的にお墓参りをし、清掃や供養を行うことが、本当の意味での供養と言えるでしょう。
また、お墓の選び方や供養の方法は、個人や家族の考え方、宗派などによっても異なります。大切なのは、家族で十分に話し合い、納得のいく選択をすることです。
まとめ
お墓の購入は人生の中でも重要な決断の一つです。生前購入と死後購入それぞれにメリット・デメリットがあり、自分の状況に合わせて選ぶことが大切です。
また、お墓の契約日については、六曜などの暦注にこだわるよりも、家族全員が参加できる日を優先することをおすすめします。
開眼法要や納骨法要は、お墓を建てた後の重要な儀式です。宗派や家族の事情に合わせて適切な時期を選びましょう。
墓地選びでは、立地や環境、管理形態などをしっかりチェックすることが、後悔しない選択につながります。
最後に、お墓にまつわる俗説については、必ずしも信じる必要はありません。大切なのは、お墓を通じて故人を偲び、家族の絆を深めていくことです。
お墓選びに悩んだときは、石材店や寺院に相談してみるのも良いでしょう。専門家のアドバイスを参考にしながら、自分や家族にとって最適なお墓を見つけてください。









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