納骨式で会食の前に施主が述べる一言は、参列へのお礼と、納骨を無事に終えた報告、食事を用意したことの案内を、30秒から1分ほどにまとめれば形になります。料理を前にした参列者は、食事が始まるのを待っているため、長い挨拶は必要ありません。
納骨式は、遺骨をお墓や納骨堂に納めるための儀式です。葬儀に比べると規模は小さく、集まるのは家族や親族が中心になります。

会食前の一言に入れるのはお礼と納骨の報告、食事の案内
最初に、足を運んでくれた人たちへのお礼を述べます。次に、納骨が滞りなく済んだことを伝えます。そのうえで食事の席を設けたことを知らせ、故人を偲びながら過ごしてほしいと呼びかけます。献杯をする場合は、最後にその発声を添えて締めくくります。
施主の挨拶の土台は、参列してくれたことへの感謝と、遺族の近況や心情を伝えることにあります。会食は、法要に集まってくれた人へお礼の気持ちを示し、故人を偲ぶための場とされています。
会食前に施主が使える短い例文は長さ別に3通り
標準の長さで伝える一言
「本日は、お忙しいところをお越しくださり、心よりお礼申し上げます。おかげさまで、先ほど納骨を無事に終えました。ささやかながら食事の席を整えましたので、故人の話などをしながら、どうぞゆっくりお過ごしください。」
献杯の発声まで続ける一言
「皆様、本日はご多用のなかご参列を賜り、誠にありがとうございます。皆様にお集まりいただいたおかげで、納骨を滞りなく終えることができました。粗宴ではございますが、席をご用意いたしました。故人の思い出話をお聞かせいただけましたら、うれしく存じます。それでは、故人を偲び、献杯をいたします。ご唱和をお願いいたします。」
時間をかけずに済ませる一言
「本日はありがとうございました。納骨は無事に済みました。ささやかな席ですが、故人を偲びながらお過ごしください。」
例文に故人の名前を一言足す
例文は、そのまま読み上げるための原稿ではありません。整った文章を用意するより、自分の言葉で感謝を伝えるほうを重く見る考え方もあります。故人の名前を入れたり、参列者と故人とのつながりにひと言触れたりするだけで、気持ちの伝わる挨拶になります。
施主の挨拶は開式と閉式の2回で、会食前の一言は閉式にあたる
納骨式で施主が挨拶をする機会は、式の最初と最後の2回が一般的です。
式は、施主による開式の挨拶から始まります。ここで遺族の近況を交えながら、参列への感謝を述べます。会食を予定しているなら、この時点で知らせておくとよいとされています。
開式の挨拶が終わると、墓石の下にあるカロート(納骨室)へ遺骨を納めます。
遺骨を納めたあとは、僧侶がお経を読み、焼香は施主が最初に行います。参列者は、故人とのつながりが深い人ほど先に焼香するのが通例です。読経と焼香を終えて一同が食事の席へ移ると、施主が閉式の挨拶を述べ、献杯をしてから料理に箸をつけます。食後は引き出物を渡して散会となります。
納骨式のあとの会食は、お斎(おとき)とも呼ばれます。
四十九日法要と同じ日に納骨をする場合は、締めの挨拶の位置が変わります。法要を終えてからお墓へ移動し、読経をして遺骨を納め、そのあと会食に入ります。施主の最後の挨拶は会食の終わりに行い、参列者へ引き出物を渡し終えた時点で閉式となるのが一般的です。
進め方は宗派や地域、お寺の考え方で違い、お寺によっては会食や引き出物を辞退されることもあるため、菩提寺や石材店に前もって確認しておくと安心です。
会食前の挨拶で避けるのは重ね言葉と死を直接表す言葉
弔事の挨拶では、不幸が重なることを思わせる言葉と、死をそのまま表す言葉を使わないのが望ましいとされています。
こうした言葉をまとめて忌み言葉といいます。日常の会話なら気にならない語でも、冠婚葬祭では、読みの音や字の形が縁起の悪いことを連想させるため、使わないようにする言葉です。種類としては、不幸を思わせるものや別れを思わせるもの、それに重ね言葉があります。どれも語呂や慣わしから来た決まりで、科学的な根拠はありません。
重ね言葉は、「重ね重ね」「たびたび」「またまた」「しばしば」「返す返すも」のように同じ語を繰り返す表現です。不幸の連続を思わせるので、挨拶には入れません。「何度も」「再び」「引き続き」「再三」「続いて」も、不幸が続く連想を呼ぶという理由で同じ扱いになります。「死」「亡くなった」のような直接的な語や、死因を尋ねるような話も控えます。
言い換えるなら、「重ね重ね」は「深く」や「加えて」に、「葬式」は「告別式」や「葬儀」「弔事」に替えられます。うまく当てはまる語がなければ、文全体の流れが不自然にならないように直せば足ります。
宗教による言葉遣いの違いにも気を配ります。仏教では「ご冥福」や「成仏」という言葉を使いますが、神道では「冥福」はふさわしくないとされています。納骨式の多くは仏式ですが、その家の宗旨に沿った言葉を使うのが基本です。
献杯は落ち着いた声で、杯は胸の高さに掲げて合わせない
献杯は、葬儀や法事のような弔事で行う、故人を偲ぶ厳粛な杯です。結婚式や飲み会など、広く慶事で使われる乾杯とは性格が違い、静かに敬意を込めて行います。
献杯の発声は、厳かで落ち着いた調子にします。乾杯のときのように、明るく張った声を出す場面ではありません。杯は胸の高さくらいまで上げるにとどめ、まわりの人と合わせません。改まった場でグラスを打ち合わせるのは、マナー違反とされています。飲み物に口をつけるのは、黙祷や合掌を済ませてからです。細かな作法には地域ごとの違いがあります。
会食のあとに渡す引き出物は消えものを選び、表書きは「志」が無難
引き出物は、会食を終えた参列者が帰るときに手渡す品で、香典返しとは別に用意します。品物には、食べ物やお茶、海苔、お菓子、洗剤など、使い切って形の残らない消えものを選ぶのが一般的です。そこには、悲しみをあとまで持ち越さないようにという願いがあります。
反対に、肉や魚のような四つ足生臭もの、それに鰹節や昆布、酒といったお祝いを連想させる品は、避けたほうがよいとされます。僧侶には参列者と同じ品を用意し、「御本尊様にお供えください」と言葉を添えて渡すと丁寧です。ただし、浄土真宗のように、この渡し方について考え方の異なる宗派もあります。
掛け紙の表書きと水引は、次の形が基本になります。
| 項目 | 一般的な形 | 地域・場面による違い |
|---|---|---|
| 表書き | 「志」(どの宗派でも使える) | 「満中陰志」(関西など)、「茶の子」(中国・四国・九州の一部)、法要の返礼としての「粗供養」 |
| 水引 | 結び切りで、色は黒白 | 関西では黄白を使うこともある |
会食の費用は1人あたり3,000円から1万円の幅で見積もる
1人あたりの会食費は、3,000円から8,000円という例もあれば、5,000円から1万円を目安に挙げる例もあります。どの会場でどんな料理を頼むかで金額が動くため、参列人数とかけ合わせて予算を組みます。
僧侶や寺院に関わる費用の目安は、次のとおりです。
| 名目 | 目安 | 補足 |
|---|---|---|
| お膳料(御膳料) | 5,000円から1万円ほど | 僧侶が会食を辞退されたときに渡す |
| 御車代 | 5,000円から1万円程度 | 僧侶の交通費として別の封筒に入れる。車で送迎するなら不要とする考え方もある |
| お布施(四十九日法要) | 3万円から5万円程度 | |
| お布施(四十九日法要と納骨法要を同時に行う場合) | 全体で5万円から10万円程度 | |
| お布施(納骨式のみ) | 3万円から5万円程度 | 開眼供養も含むなら3万円から10万円とする見方もある |
| 卒塔婆 | 1本につき2,000円から5,000円ほど |
お布施は、読経が終わったあとに僧侶へ直接渡します。表の目安とは別に、お布施とお車代、卒塔婆代を合わせて寺院に納める分を、納骨式全体でおおよそ10万円前後と見積もる例もあります。いくら包むかは土地柄やお寺ごとに違います。
施主が会食までに済ませる準備は菩提寺の予約から始まる
納骨式の準備で早めに済ませたいのが、菩提寺への予約です。読経を僧侶に頼む以上、お寺の日程が埋まっていると、希望の日に予約が取れないことがあります。菩提寺とは、先祖代々のお墓があって、葬儀や法要をお願いしているお寺のことです。
石材店への依頼と戒名の彫刻
石材店には、墓誌へ戒名を彫ってもらう作業と、納骨の手配を頼みます。この依頼は施主の役目で、納骨式の前に済ませておきます。
戒名は、仏教で仏弟子となった証に授かる名前で、多くは葬儀のときに故人へ授けられます。
新しいお墓なら開眼供養と卒塔婆の手配も
新しくお墓を建てた家は、納骨にあわせて開眼供養を営むのが一般的です。開眼供養には、開眼法要、お性根入れ、魂入れという呼び名もあります。建てたばかりのお墓の石を、拝む対象として扱えるようにするための儀式と説明されています。仏壇や位牌を新調したときにも、同じ儀式を行います。初めての納骨のときに、魂入れも一緒に僧侶へお願いする決まりにしている寺院もあります。
卒塔婆を立てるなら、寺院への依頼が前もって必要です。日程が決まったら親族へ電話で知らせ、その際に卒塔婆を立てたい人を募って名前を一覧にしておくと、寺院へ頼むときに手間がかかりません。
参列者の人数を先に固める
参列者の人数がわかれば、食事のコースも、引き出物の品と数量も決められます。寺院の手配にも人数は欠かせません。
人数を考える参考に、家族葬の参列者数として10名から30名ほどを挙げる説明があります。故人がエンディングノートなどに希望を書き残していれば、その遺志を尊重して従うことがすすめられています。招く相手を限るときは、そのことをきちんと伝えておかないと、あとで揉める原因になります。
埋葬許可証は式の前に手元を確認
埋葬許可証が手元になければ、遺骨を埋葬することはできません。許可証は火葬のときに火葬場で受け取っているはずですから、なくしていないか式の前に確かめます。見当たらないときは、死亡届を提出した市区町村役場に再交付を申し込みます。手元に届くまで数日かかる場合もあります。
納骨の日取りは四十九日・百箇日・一周忌のいずれかに合わせる例が大半
納骨式には、決まった日取りがありません。ほとんどの家が、四十九日、百箇日、一周忌といった節目のどれかに合わせ、法要と同じ日に行っています。新しくお墓を建てる場合、四十九日には間に合わない例が多く、そのときは一周忌か三回忌の法要の日に納骨します。
施主は費用を負担する人で、一般の家庭では喪主が兼ねる
施主(せしゅ)とは、葬儀や法要にかかるお金を負担する人のことです。主催者として、費用の面をまとめる立場にあります。会社が営む社葬なら、施主は企業です。
喪主は遺族を代表する人で、故人の供養を取りまとめる責任者です。通夜や告別式で弔問に訪れた人へ挨拶するのも、喪主の役目です。誰が喪主になるかは、遺言で指名された人、配偶者、血縁の近い人の順といった慣習で決めるのが一般的です。
ふつうの家庭では、この二つの役を同じ人が兼ねる例が多く見られます。納骨式で挨拶に立つ施主も、たいていは葬儀で喪主を務めた人です。
参列者の服装は準喪服が標準で、平服の指定なら略喪服
納骨も、葬儀や告別式、通夜、埋葬、年忌の法事と同じく葬祭の一つで、そのときに身につける礼服を喪服といいます。参列者の装いは、喪主や親族よりも格上にならないようにするのが一般的で、標準は準喪服です。
準喪服は、いわゆる喪服のことで、葬儀や法要に参列する際に着用します。基本は、つやを抑えた黒無地のブラックフォーマルです。女性の洋装なら、つやのない黒のフォーマルなワンピースやスーツを着ます。
略喪服は、急に通夜や弔問へ行くときや、三回忌以降の法要で着る控えめな平服です。無地の黒や濃紺、ダークグレーなどから選びます。案内に「平服で」と書かれていたら、普段着ではなく略喪服を指していると受け取ってかまいません。暗い色味の簡素な服が向いていて、くだけすぎた格好は避けます。ブラックスーツを代わりに着る人もいますが、黒い服なら何でも同じとはいかず、生地や光沢に差が出る点に気をつけます。
数珠は、宗派によって形が異なります。参列が長時間に及ぶときは、老眼鏡や着替えを持っていくと便利です。
会食前の一言は短いお礼と献杯で締めくくれば足りる
会食前の一言は、お礼と報告、食事の案内を短くまとめ、献杯を行う席では落ち着いた声で発声して締めくくります。重ね言葉と死を直接表す語は外します。








